耳道内視鏡のご案内
耳内を正確に把握し、外耳炎・中耳炎に挑む

「耳内の正確な状況判断ができてこそ、適切な治療計画を建てることができるのではないか?」。当院では耳道内視鏡を導入し治りにくい外耳炎・中耳炎に対し様々な対策を行っております。自然治癒力を最大限に発揮してもらうためには耳内環境の整備が必須です。我々はそのお手伝いをいたします。少しでも耳の不快感から解放されるワンちゃん・ネコちゃんが増えれば幸いです。

耳道内視鏡のご紹介
鼓膜や中耳まで観察治療が可能です
  • ①-1
    カールストルツ製
    ハイビジョン
    最新型の内視鏡

    2020より導入した最新型の耳道内視鏡です。
    ハイビジョンで、耳道や鼓膜の状態をより鮮明に把握できます。耳内環境を整備し、治癒を手助けします。

  • ①-2
    カールストルツ製
    細径スコープ(鼓膜・中耳用)
    この機器で中耳・鼓膜を処置します

    耳道は狭く、湾曲しているため、通常のスコープでは奥まで届きません。当院では細い内視鏡の設備を整え、より内部の治療に取り組める環境を用意しております。鼓膜はもちろんのこと、中耳内まで処置が可能です。

  • ②飛鳥メディカル製
    オトスコープ
    診察室、処置室でマルチに活躍

    高画質な耳道内視鏡です。外来での確認と処置室でのサブ機としてマルチに活躍しています。また、レーザー治療による耳内の腫瘤除去などにも使用しています。

  • ③コデン製
    アニマルック
    (診察室使用)
    飼い主さんに画像を共有してもらう

    細く、手軽に耳内を観察できます。
    小型犬の耳内奥も比較的容易に確認が可能です。まずは耳内の正確な把握と治療プランの設計ですね。

  • 何ができるの?
    オトスコープの特徴

    オトスコープ(耳道内視鏡)は一般的な覗く耳鏡に比べ以下の点で優れています。①画角が広い②光源が明るい③鉗子が挿入でき異物や耳垢などの除去が可能④カテーテルによる洗浄が可能⑤鼓膜や中耳まで確認ができる。そのため、原因の判断、蓄積された原因の除去、徹底的な洗浄が可能です。排水溝の奥を観察、洗浄するイメージです。

  • どんな時に使用するの?
    ダラダラと繰り返す場合、鼓膜の正常化が必要です。

    難治性の外耳炎の原因として鼓膜のトラブルを考える必要があります。このような時、耳道内視鏡での確認・処置が有効です。鼓膜付近での耳垢の蓄積、毛や異物の落下、鼓膜の炎症など耳の奥では様々な変化が認められます。これらの原因を取り除き、本来の耳の正常化を促すのが目的になります。

様々な耳内の写真
内視鏡で耳の中を覗いてみましょう

一見同じ症状に見えても中を内視鏡で確認してみると、様々な変化が起こっています。これらは全て

  • 耳が痒い
  • 首を振る
  • 耳が臭う
  • 耳掃除をしてもすぐに溜まる

などのよく遭遇する症状の耳内画像です。

  • 慢性外耳炎の耳の中です。
    掻く刺激と、耳内の環境悪化に伴い耳道が腫れて狭くなっています

  • 一見綺麗に見えたのですが…鼓膜から水平耳道にかけて毛と耳垢の塊があり、これが痒みの原因になっていました。
    このような場合は耳掃除では除去できません。
    鉗子を使用して引き出すことが必要です。

  • 硬い耳垢です。
    このタイプは通常の耳掃除では綺麗になりません。
    耳垢を溶解するクリーナーを使用します。
    除去困難な場合は内視鏡を使用して取り除きます。

  • 耳道内に落下した毛。
    毛が生えているわけではなく、耳の出口付近の毛が耳内に落下します。
    これは不快感や耳垢の増殖に影響を与えます。
    内視鏡での除去が有効な場合もあります。

  • 繰り返す外耳炎で耳道壁がボコボコと不整になっています。
    耳垢腺という分泌組織が増殖し、より耳垢や細菌の温床になります。
    このような場合はしっかりと鼓膜まで耳垢を除去し、菌の種類を特定し、適切なお薬を使用して管理します。
    中耳炎を併発していることが多いケースです。

  • 耳内にポリープが増殖しています。
    適切な管理ができないと徐々にポリープが大きくなり耳道を塞ぎます。
    犬種としては「A・コッカー」「シーズー」などでよくみられます。
    内視鏡下で半導体レーザーにて蒸散することで耳道を広げることができます。

  • ベトベトした耳垢です。
    このような場合、耐性菌などの感染症が起こっている場合と、鼓膜が破れて中耳炎になっている場合が考えられます。
    鼓膜の確認と細菌培養、場合により鼓室内洗浄などを行います。

  • 綺麗な耳道ですが…鼓膜手前に耳垢が認められます。
    不快感がある場合、鉗子による除去が必要です。

    このように耳の奥は見えない場所ですが様々な変化が起きています。
    闇雲に耳掃除を行うと、耳道壁を傷つけたり、汚れを耳奥に押し込んだり、残った汚れと洗浄液がさらに悪化を招いたりと、快適な耳内環境が保てない場合があります。

気にする程度は犬種、性格などによってかなりばらつきがあります。
例えばフレンチブルなどの我慢強い犬種(闘犬の気質がある)は症状がひどくない場合でも外耳炎や中耳炎になっていることがよくあります。
逆に、敏感な犬種は些細なことでも症状がすぐに現れるため飼い主さんも気がつきやすいです。
言葉の話せない動物の不快感を一早く見つけてあげれるのは飼い主さんです。
我々と協力して少しでも快適な耳内環境を作っていきましょう!