ポプラ日記

耳道内視鏡のご案内
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2023年01月02日(月)
当院では道内でもまだほとんど普及していない耳道内視鏡(ビデオオトスコープ)を7年ほど前から導入し、様々な耳内疾患の治療に取り組んできました。

まだまだ耳内の治療といえば・・点耳薬、飲み薬、耳の洗浄(耳掃除)が主流ですよね。
もっともっと悪化すると・・『手術が必要になります』・・なんてこともあります。

耳内視鏡はそれらの中間に位置する治療手法になります。
「侵襲少なく最大の効果を期待する」
これが耳内視鏡の目指すところです。

具体的には耳内環境の改善としての「徹底的な洗浄」「異物の除去」「耳道を広げる」が主軸になります。
この徹底的な・・というところがミソです・・

通常外来の洗浄では鼓膜付近の汚れやバイオフィルム(菌の膜)がほとんど除去されません。
なので、またすぐに耳内の細菌や脂、毛などが繁殖し、痒みの元になり、結果的に耳の炎症を悪化させます。

耳内視鏡には以下のメリットがあります
・耳内に硬性鏡(硬い細いスコープ)を挿入し、外耳道はもちろん鼓膜や中耳の確認、治療が可能
・特殊な鉗子(異物を除去する道具)を入れることができ、細かい処置が可能
・今まで届かなかった部位(鼓膜周辺や中耳)にアプローチ可能
・通常の点耳や耳掃除では除去できない汚れを除去
・耳内のポリープやバイオフィルム(菌の膜)、毛や耳垢塊を除去・・細菌の温床になるため除去が極めて有効
・レーザーを挿入し狭くなった耳道を広げることが可能


※耳垢とバイオフィルムに覆われた外耳道内の写真(鼓膜付近は耳掃除では届かないので除去できません)

まずは現状の悪化要素をなるべく除去し、その後の経過を見ることで
「体質や手に負えない病状が関与し管理が困難な症例か?」
「環境改善にてコントロールが容易になる症例か?」
を見極めることが可能です。

当院の印象としてはコントロールが容易になる症例が8割以上かと思いますので、繰り返す難治性の症状でお悩みの方はお気軽にご相談ください。
基本的に内視鏡を行い悪化することはございませんので試みる価値は大いにあると実感しています。
※内視鏡処置には全身麻酔が必要になりますので事前にご相談しましょう
ごあいさつ
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2022年12月31日(土)
当院に通院されている飼い主様へ
本年もポプラ動物病院をご利用いただきありがとうございました。

皆様のご家族にとってベスト、時にベターな選択をご提案し、楽しく、素敵な時間を過ごせるようスタッフ一同努めてまいりました。
おかげさまで皆様に安心して来院していただけるスタッフ数、環境を整えることができ、今後も安定感をさらに増した診察、治療をご提供してまいります。

動物を飼うと様々な出来事が時々起きますが、我々にお任せいただき安心して生活できる力になれれば幸いです。
来年度もどうぞよろしくお願いいたします。

アレルギーの闇・・
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2022年12月21日(水)
うちの子は・・アレルギー検査で・・あれもダメこれもダメ・・
病院で専用食を処方されそれしか食べていないのに・・・治らない・・。

こんな現象?がちらほら見受けられる以前からの動物業界
もちろん、添加物、タンパク、脂質・・などなどアレルギー反応を引き起こす要素は食べ物に存在することは事実でしょう

我々人間も様々なものを摂取しています

なぜか動物は人間よりも「アレルギー?」と言われることが多いですよね・・
これが飼い主さんを混乱させます。
痒そうな人を見てもアレルギー?と思うよりアトピー性皮膚炎と思う方が多いですよね・・。

獣医界はアレルギーの前に、皮膚炎をいう概念、認識が薄いのがその要因の一つです
人間の皮膚科の教本では「皮膚炎」が最もメインで掲載されますが、獣医の教本では「皮膚炎」の項目がありません

何故かは、その時の製作する時の判断にあると思われますが、人間も動物も基本的なメカニズムは一緒です
人間ではエビデンスが揃っており、見た目や経過による判断基準が細かく確立しています

そのような背景もあり、問診でその可能性が疑われる場合は考えますが、「我々はアレルギー検査と食事療法は基本的にお勧めはしていません」
ただし、飼い主さんの無理のない範囲で行うことは良いことと思いますのでされる余力のある場合はその限りではありません

当院では人間の皮膚科と似たスタンスで皮膚科を考えていますので、その辺が当院の立ち位置になります

食事療法に反応がなく新たな治療方法をご希望の方はご相談ください
冬の乾燥にはやはり「保湿」が大事
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2022年12月13日(火)
こんにちは
寒い冬は乾燥が気になりますよね・・。
ワンちゃんも乾燥は皮膚のトラブルの原因になりますので注意が必要です。
特に「アトピー性皮膚炎」を持っているワンちゃんでは、皮膚の水分蒸散量が正常な犬より多いので比較的乾燥しやすい傾向にあります。
そこで・・保湿剤の登場です。

当院では数種類の保湿剤を揃えております。
スプレータイプ、ローションタイプ、クリームタイプ・・。
乾燥の部位に合った製剤を選択し、より快適な生活を送りましょう。

乾燥が気になる方はお気軽にご相談ください!
「耳科 セカンドオピニオン」 のご案内
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2022年09月06日(火)
こんにちは五日市です

当院では皮膚科と耳科でセカンドオピニオンを受け付けております

今回は「耳科のセカンドオピニオン」についてご案内いたします

「こちらの動物病院では耳科の症状に対して何ができるのか?」

① 現状把握(診断)をなるべく詳しく行います・・・外耳炎、中耳炎・・といっても原因は様々です。原因を分かりやすくお伝えいたします。

② 今後の展望についてご説明いたします・・・症状の繰り返す場合、治療方法を再検討する必要があります。

③ 使う薬剤の種類や検査内容・・・施設によって使うお薬や治療手順、方法は様々です。当院では現状把握のもと最適と思われる治療法をご提案いたします。

④ 耳内視鏡(特殊機材)を使用することで治療の幅が広い・・耳道拡張、中耳洗浄、耳内ポリープの除去、鼓膜の治療など多彩なケアが可能です→結果として薬剤でのケアがしやすくなります。

⑤ 外科適応と言われた場合、上記の治療によって回避できる症例も多い・・・それぞれにメリット、デメリットがありますので選択してみましょう、年齢や性格、飼い主さんの考えなど考慮いたします

「当院でできないこと・・」もご説明いたします

① 耳道の外科(全耳道切除術や鼓室包切開術など)・・・根治が期待できる反面、外科の得意な獣医師でも、耳科の外科は難易度の高い部類に入り、合併症や術後の経過が思わしくないケースもあります。(当院では外科を回避することができるよう対応いたしますが、残念ながら治療の反応が乏しい場合や病状が進行している場合は外科対応のできる他施設をご紹介いたします)

② CT、MRIの検査・・・この検査機械は大学病院やごく一部の動物病院でしか受けられない検査です。中耳炎の確認や、脳、外耳道の状態などの把握に有用です。必要によってはそのような施設をご紹介いたします。当院では、症状確認やレントゲン検査などを行い、まずはできる処置治療を行い、治療経過によって精査をご提案することがあります。

上記のように当院の考えは

なかなか治らない、ケアが困難な症例」に対し、診断の見直しと新たな治療方法をご提案する
辛い症状を現状より改善できるよう様々な治療方法を試みる
 
結果として耳の症状で悩む動物と飼い主さんの負担を減らすことができればと考えております

また、他施設にて「手術が必要」と言われた症例でも耳道内視鏡や治療方法の変更にてコントロール可能なケースも多くなっております。もちろん内科療法も、費用、手間、時間がかかりますので、どちらがベストか?は状況によって異なりますのでご相談しましょう。

外科手術は・・なるべく耳が無くなるのは避けたい・・というご意見をよくききますし、自分も本人に苦痛がなければなるべく避けたいですね(歯科治療のような考えに似ていますが、温存できる方法を耳科でもご提案いたします)

今より改善する可能性がある!
まだ、発展途上の分野で、このような治療を積極的に行なっている動物病院は少ないですが、治療症例を重ね皆様にその効果を実感していただけるよう精進して参ります。

その症例にとって、飼い主さんの考えにより、最善と思われる方法を一緒に考える一助になれれば幸いです